ムービーギャラリー
発生期の脳における神経幹細胞が分裂する様子
細胞の表面を赤色で、核を緑色で可視化している。神経幹細胞は非常に密集している状態で分裂をしており、それぞれの細胞は非常に細長い形をしている。その細長い中に核があり(膨らんだ部分)、上下に運動をしながら脳の一番内側(脳室表面、画面底)で分裂を行う。
分裂後、核は徐々に上に移動して、再び分裂するときに下に降りてくるというエレベーター運動と呼ばれる非常にダイナミックな動きを行う。
神経幹細胞が分裂している様を、脳室表面から観察している。
緑色のリング状の蛍光は、一つ一つの神経幹細胞の上皮構造の境界を可視化したもので、赤い点状の蛍光は中心体を可視化している。
通常の神経幹細胞が分裂する様子
非常に密集していると観察が一つ一つを観察するのは困難なため、数少ない細胞だけを標識している。神経幹細胞は非常に細長い突起を脳の内側(画面下)と脳の外側(画面上)にのばして、核(膨らんだ部分)が上下運動をしながら、一番内側(脳室表面、画面底)で二つに分裂する。
分裂してうまれた細胞は、分化しながら、神経幹細胞の持つ細長い突起を伝って、脳の外側へむかって移動してゆく。上下にあった細長い突起は一方の細胞だけが受け継ぎ、突起を維持している方が神経幹細胞としての性質を維持する。
マウスで発見された、ヒト型神経幹細胞が誕生する瞬間と分裂する様子
ヒト型の神経幹細胞は、脳の内側(画面中央辺り)で分裂を行い、脳の外側(画面上)にむけて細長い突起を維持しながら分裂を繰り返す。最初は、通常の神経幹細胞だが、最初の分裂によって上下の突起が分断される事により、脳の内側と外側の一方のみに突起を維持した細胞が生まれる。その中で、脳の外側に向けて突起を持つ細胞だけが神経幹細胞としての性質を維持される。このような形態の神経幹細胞は、人間やサル、フェレットといった、マウスより巨大で複雑な脳を持つ動物種に非常に多く観察される。
我々は、このヒト型の神経幹細胞が少数ながらマウスの発生脳にも存在する事を明らかにし、その解析からヒト型の神経幹細 は、通常の神経幹細胞が分裂の際に上下の突起が分断される事によって生じるのではないかという仮説を立てている。